心のアカ
(月刊「ひかり」誌2005年10月号より)
C.Y 
   

いつも温かいご指導を頂き、本当に有り難うございます。

私は今、月に一度、歯のそうじをしてもらうために、歯医者さんに通っています。自分の歯ブラシだけでは、行き届かない歯と歯ぐきの間をきれいにして頂く度に、私は心のアカもこんな風におとしてもらえたらなあと、そんな愚かしい事をいつも考えてしまいます。顕微鏡で口の中のバイ菌を先日初めて見せて頂きました。朝晩の歯みがきも自分では完璧に磨いているつもりでいたのに、肉眼で見るとショックを受けました。口の中にもいろんな菌がいて、私の口の中には、歯周病菌が多い事を発見しました。

先生のお話では「今までに飲み薬はありませんでしたが、抗生物質が出来て、これを飲むとほとんど100%歯周病菌は殺す事が出来る画期的な薬が開発されました。うちの患者さんで九割の方に、この薬の効果は現れました」といったお話を聞かせて頂いたので、私は飛びつくように三日分の薬を頂いて帰りました。それから三日後に私はこれで歯周病菌は退治出来てよかった! よかった! と思っている考えられない程安易な私がいました。

そして一週間後、歯医者さんに行って、口の中の細菌をとって顕微鏡で見せて頂いた結果、私はなんと九割の人の中ではなく、一割のきかなかった人の方に入ってしまったのでした……。

その日の夜、なぜ私は薬が効かなかったのか……? 考えてみました。心の中から出てきた答えは、それは全く他力であるという事でした。ただこの薬を飲めば私の口の中から歯周病菌はいなくなってくれる……。なぜ、歯周病菌が多いのか……? という疑問も持たず、薬にぶら下がっている自分がはっきりと分かりました。

日々の生活の中で一瞬一瞬の思いを、その心の動きを常に正道に合わせて生活する事が、いかに大切であるかという事を気付かせて頂き、またそれは本当に難しいことだと思いました。菌を通して、自分の中の間違った思い方を一つ気付かせて頂けたので、簡単に薬で退治出来なくて良かったと思いました。

そして、この日の夜から、私は心を入れ換えて、歯みがきをしました。今までの間違った思いを、神にお詫びさせて頂くとともに歯の一本一本に感謝をして、歯ブラシと歯間ブラシでていねいに大切にそうじをしました。

それから一ヵ月後に、また顕微鏡で見せて頂いた結果……、ほとんど薬の効果がなかった私が、必死の自力のそうじにより、歯周病菌はほぼ消えてなくなっていました。「自力でここまで菌が死ぬとは! Yさん、よく努力されましたね!」と先生に言って頂き、私は心の底から嬉しさが込み上げてきたと同時に、一ヵ月間努力したし……!! と思う自分がいました。

すると、心の中から即座に、「努力しているという感覚が内にある間は本物ではない……」というお釈迦様の言葉が浮かんできたので、驚きました。

では、努力が生活の中に溶け込むようになるには……? と考えてみると、感謝という事につながっていくのかなあと思いました。

今の私の次元で、気付かせて頂いた事は、いつも子供たちに聞いてもらうようにしています。今回の私の歯に対する間違った思い方によって、逆に自力の大切さを子供なりに理解してくれました。

私は子供の頃、歯医者さんは大嫌いで、ただ痛いだけのマイナスのイメージしかなかったので、自分の子供には、そんな思いはもってもらいたくないという思いから……、まず母である私が喜んで歯医者さんに通うようにしていった結果、三人の子供たちも三ヵ月に一回、歯のチェックをして頂き、むし歯にならないように、フッ素を塗ってもらい、そして歯みがき指導をして頂いているお陰様で、歯医者さんは大好きで喜んで通ってくれています。遊びの中にも歯医者さんごっこをよくしています。

日々の生活の中で、自分が気付かないうちに正道から外れた思いはたくさんあるのでは……と思い、日々反省をしっかりとして行こうと強く思わせて頂いております。

(神戸市・主婦)


↑ページの最初に戻る